アニメ版、指輪物語を見ました。
「なぜこんなところに筑紫哲也が!!」
そっくりです! 馳夫さん! なんか、政治の本4冊くらい出してそうです! 恐い!! びみょ〜にファンタジーな絵柄の中、彼だけなぜか筑紫哲也さんです。いいえ、それでは筑紫さんに失礼です。筑紫さんを3割増しでガラ悪くしたかんじです。すごいなあ、馳夫さん。フロドが「敵の手下なら姿がよくて感じがわるいと思う(から、この人は敵の手下じゃないんじゃないかなあ)」と言ってしまったのも致し方ないことでしょう!
ファンタジーアニメのはずなのに筑紫さんがご出演なさっていて驚きましたが、裂け谷での秘密会議にはバイキングが!! ギムリにしてはでか…って、ボロミア!? ボロミアなの!? 角笛を吹くから? だからまるきりバイキング? ボロミア、角の生えた兜を頭にガラ悪く登場! しかも馳夫さんと同じく、彼も生足、ミニスカです。腰に毛皮を巻き付けて、ミニスカをちょっと隠したりしているせいで、よりセクシー…なわけありません! おかしい、何かがおかしい…。
ガンダルフも若干悪人顔ですが、元々ガラ悪いキャラなので、問題ありません。どころかマントの肩のあたりぐるりにシャンプーハットのようなひだひだがついた、ちょっぴりキュートなかんじの衣装が、ガラの悪い顔とミスマッチで初見の方々が彼を誤解しやしないかと心配なくらいです。そして、どうもフロドもガラ悪げです。口の端ゆがめて笑ったりする表情が、何ともガラ悪く、気がつけばほとんど皆ガラ悪い、恐ろしい絵面です。何か嫌なことでもあったんだろうか、この作監のひと……。素直にかわいいのはメリーとピピンだけって、問題じゃないでしょうか。ええ。女性陣もたいそう恐ろしい顔立ちをしておいでです。夢に出てきそうです。
キャラにも増して黒の乗り手、オークなど、たいへん気味悪く仕上がっており、作られた1978年当時見ていたとしたら、私はきっちりうなされたことでしょう。油断するとすぐアニメ絵から「実写を加工したリアルなアニメ」になだれ込むのも恐いです。いっそ全編この調子で「実写+加工」アニメで統一すれば良かったんじゃないかと思うのですが、時代的に無理だったのかもしれません。
物語は、いかにも走り走りといった作りで、原作を読んでいなければ、たぶん理解することは不可能でしょう。王の帰還手前まで入ってますので、映画の後でも無理っぽいです。ただ、映画を観た後でこれを観ると、似たようなシーンが随所に見られ面白いです。(確かどこかで監督もこのアニメにふれていました)トム・ボンバディルのエピソードなどは、こちらでも削られていますが、酒場でフロドが歌うシーンや、秘密会議にビルボが出席しているシーンなどはちゃんと盛り込まれてます。
そういえば、フロドが黒の乗り手に刺された後、映画ではアルウェンが探しに来てましたが、こちらではなんとレゴラスが!! 馬に乗ってやってくる姿がどうやら男だったので「原作通りでくるか」と思っていたところへ、馳夫さんが「レゴラス!」ってうれしそうに叫んだので、爆笑してしまいました。そうか、レゴラスにこの役をふったか……。ところで、映画にはなく、アニメにはあった、浅瀬を渡ったところでのフロドの台詞「指輪も、このわたしも渡すものか!」は、ぜひ実写版でも見たかったものです。
物語はものすごい勢いで進みます。なのに何故か戦闘シーンだけ、やたら念入りに描き込まれております。全体の3分の1くらい黒の乗り手や、オークのシーンかも。
そうこうするうちに、ボロミア戦死、怖れていた筑紫哲也とバイキングのキスシーンもなく、フロドとサムは旅立って行ったのですが……ここでまた、どこかで見たことのある方が。ゴクリ、あんたはもしや、日本で妖怪人間と呼ばれていませんでしたか? そっくりです、妖怪状態のベムを華奢にしたようなかんじです。いえ、見比べると似てないのかもしれませんが。
画面の辛気くささはうなぎ登り状態で、もはやなすすべもなく見た夜うなされるアニメへまっしぐら! 唯一ガンダルフが真っ白になって復活(と言いたいくらい景気良く真っ白でした。セルに色つけるの、楽だったことでしょう!)したあたりだけ、画面が明るいといった有様です。
お話しは片や角笛城の勝利まで、片やシェロブのいる峠手前まで、というところでナレーション「フロドの勇敢な仲間たちにより闇の勢力は…」こうやって以下第二作へ続く……のかとおもいきや「中つ国から永遠に消された。英雄たちの戦いは終わり、指輪物語もその終わりを告げるに至ったのです。」終わったんかい!!
当時、続編を当然作るつもりで、作った第一作が十数年を経て「絶対続編はないな」ということで後からナレーションを入れ完結した形で(完結してないが)DVDにしたのかもと思ったけれど、もしや、公開当時から入ってるナレーションなのだろうか。何をどうつくろっても、たとえ画面がなんとなく戦に勝った?な場面で終わってるからと言っても、こんなナレーションひとつでごまかされる人はいないと思うのだけど、どうだろう? 潔く続くのままにしておけばいいのに……。けれども、DVDで見た私としては、最後まで笑いどころを提供してくれてありがとう!と、礼を述べてもいいような気分だったりします。面白かった!
この感想をうっかり読んで、購入を見送った方がいらしたら、発売元に申し訳ないなあ。いろんな意味で見て損はないDVDだと思うので、買う気がある方は、あきらめて買うがよいでしょう。日本語吹き替えはついていませんが、フランス語吹き替えはついております。字幕言語も日本語、英語の他にフランス語、中国語、スペイン語、タイ語、ポルトガル語、ハングル語と盛り沢山でお得ですよ。(2002.8 当時。現在は日本語吹き替え収録版も発売されてます)